ウォルマート、セブン、トライアル……小売業の「AI活用」を有名企業の事例に学ぶ(2/4 ページ)

» 2025年04月21日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

生産性を「100倍」向上させたウォルマート

 ウォルマートは2024年、プロダクトデータを活用し生成AIを導入したことで、カタログ管理で8億5000万件を超えるデータ作成・改善を行い、生産性が100倍も向上したと発表しました。

 正確には「同じ作業を人が行っていたら100倍の時間がかかっていた」とのことですが、これがそっくりそのまま人間の仕事を奪ったかというとそうではないでしょう。8億件以上ものデータ活用と作成は、そもそも人間が正確且つスピーディに行える範囲ではありません。

 ここでのポイントは、そうした業務はできないけれども、AIを使って「どのように実現するか」は人間が設計できるということです。どのデータを活用し、どのようなルールで整理するか。一定のフォーマットやフローを構築したことで、人力では不可能な業務が実現しました。

 コンテンツを作成した後、反響について何をもって良し悪しを判定するか、その次のアクションには何を導くのが最適か。これも人が設計しなくてはなりません。AIがアウトプットしたものをそのまま信じ、ノーチェックで市場に送り出すわけにもいきません。こうした正確性のチェックやコンプライアンス、レピュテーションリスクの判断も必要です。チェックのデータソースとロジックにも、もちろん人間の力が必要です。「人が介在せずして有効なAI活用なし」なのです。

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