高速道路で課題を抱えているのはETCだけではない。つい先日もインターチェンジからの誤進入による逆走によって、悲惨な衝突事故が発生した。
標識や看板による注意喚起だけでは逆走防止には限界があることは、以前から指摘されているのだから、ガードレールやポールによる物理的な障害を設けるなど、構造的に誤進入を防ぐ対策を講じるべきだろう。高齢ドライバーの認知機能低下だけでなく、クルマの運転や免許取得がより容易になってしまった弊害が出ているような印象だ。
レベル2の自動運転(運転支援システム)が普及しており、高速道路で利用するドライバーも増えているが、肝心の道路は車線表示のペイントが薄れている箇所も多く、ステアリングアシストの動作が不安定になるケースもある。
今回はETCのシステム障害が原因であったが、スマホの通信障害やアクセス集中によるサーバのダウンなど、通信技術を利用した大規模なサービスはその仕組み上、こうした障害やトラブルが起こり得る。だから、対応マニュアルを作成し、利用者を最優先とする姿勢を示すことが、本来あるべき姿ではないか。
とりわけ高速道路は物理的に人を運ぶことから、安全性が問われるだけでなく、年々変化していく利用環境やドライバーの年齢層分布などに合わせた対策を進めていってほしいものだ。
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。
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