ゴールデンウイークが終わり、退職代行サービスを利用する人が増えるとの報道がされています。いわゆる「五月病」です。
しかし、実は「やめる決断」ができた人より問題なのは「何をやっても楽しくない」「話をするのがわずらわしい」「自分がいやでしょうかない」などのネガティブな感情や、慢性的な倦怠感、肩こり、頭痛などがありながらも、放置して会社に出社し続ける社員です。
頭痛、肩こり、イライラ、やる気がでない、眠れない、疲れやすいなどは「蓄積疲労」の代表的な症状です。疲労は、いわば“借金”と同じ。私たちは、自身が認識している以上に疲れていて、疲れの借金だらけになっています。日々の小さな疲労が十分に回復しないまま積み重なり、心身の機能低下を引き起こし、最悪の場合、うつや突然死につながってしまいます。
蓄積疲労と精神的なストレスは、シーソーのような関係があります。ストレスが続くと疲労が蓄積しやすくなったり、逆に疲労が蓄積するとストレスにうまく対処できなくなったりすることも。特に新入社員は要注意です。一過性の不適応症にもかかわらず「ただの五月病でしょ」などと軽く扱われてしまうと、その後のキャリアに悪影響を及ぼすことが多くの研究で確認されています。
私が大学院で取り組んだ研究テーマの一つが、新入社員の「五月病」でした。調査研究では大学を卒業予定の900人を対象に、入社直前、入社2カ月後、入社半年後の3つのタイムポイントにおいて、4つのメンタルヘルス指標を測定。入社前のキャリアレディネス(将来的なキャリアについて、しっかり準備ができているかどうか)、入社後の研修効果、社内サポートネットワークとの因果関係を検証しました。
その結果、入社2カ月後のいわゆる「五月病」と呼ばれる時期に、多くの新入社員のメンタルヘルスが低下していることが分かりました。原因は入社前のキャリアレディネスの欠損です。具体的には「これからのキャリアにとても興味を持っている」「これからのキャリアは自分の力で切り開いていきたい」「希望する働き方をするために具体的な計画がある」新入社員ほど、メンタルの落ち込みが穏やかでした。
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