大手企業が参入する中、大阪に拠点を置きライブコマース事業を拡大させている会社がある。ライブコマース配信者(いわゆるライブコマーサー)のプロデュースやマネジメントを展開するCellest社(セレスト)だ。2024年4月の売り上げは4000万円ほどだったが、この4月には2億円を突破するなど、成長を続けているようだ。
2017年に参入した同社は、商品知識や配信に関するノウハウを蓄積してきた。専用スタジオを設けることで配信の品質向上を図るほか、視聴データの分析にも力を入れており、それらが成約率の高さにつながっているようだ。
ライブコマース専門事務所(Cellest社が運営)に所属する「ぞうねこちゃんねる」は、主にアパレル・コスメ・雑貨・食品などを扱っている。2024年9月〜2025年2月期の数字を見ると、配信1回当たりの平均視聴者数は1万3000人に達した。また2024年10月には、月商が1億円を突破。1回の配信で実店舗1カ月分の販売数を超えることもあるそうだ。
もう1つの主力チャンネル「アヒルのライブマーケット」も、L〜3Lサイズのアパレルを専門的に販売するなど、体型に悩みを持つ顧客層から支持を集め、月商3000万円を突破している。
これらのチャンネルは、視聴から購買に至るコンバージョン率が高く、約16%に達する。通常のECは平均が約1〜3%とされており、それを大きく上回っている。同社の佐々木宏志社長はこの高い成約率について「配信を通じて、商品への理解と信頼が深まるため」と分析する。
コスメやアパレルなど、実演できるものはライブコマースとの相性が良く、逆にサービスなどの無形商品は簡単ではないという。しかし、あるフィットネスサービスの配信では、1時間で200人の入会を獲得したことから、成約率の高さがうかがえる。
また、視聴者の多くは女性で、特に35歳以上が中心だという。「若い世代はSNSで自ら情報収集するのに対し、30代以上は効率よく情報を得たいと考えており、信頼できる説明を求める傾向がある」(佐々木氏)
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