防衛産業はなぜ“儲かる”ようになったのか? 重工3社に見る変化の本質(1/7 ページ)

» 2025年05月12日 08時30分 公開
[草刈貴弘ITmedia]

著者プロフィール:

カタリスト投資顧問株式会社 取締役共同社長/ポートフォリオ・マネージャー

草刈 貴弘

 大学卒業後、舞台役者などを経て2007年にSBIリアルマーケティングに入社。2008年にさわかみ投信に転じ、顧客対応部門、バックオフィスの責任者、アナリスト、ファンドマネージャーを経験し、2013年に最高投資責任者、運用調査部長、2015年取締役最高投資責任者に就任。2023年3月に現職のカタリスト投資顧問に入社し、同年6月に取締役共同社長に就任。

 投資先企業の企業価値向上に直接寄与することで、日本企業の成長と資本市場の活性化と、個人投資家の財産づくりを両立することを志向する。ファンダメンタル分析を基にしたバリュー投資を軸に、持続的成長の転換点を探るのをモットーとする。現在、朝日インテック社外取締役。東洋大学理工学部卒。


 IHI、三菱重工業(以下、三菱重工)、川崎重工業(以下、川崎重工)といった、いわゆる「重工3社」の株価がこの1年で大きく上昇しています。

 防衛事業単体でのセグメント別利益率を発表している会社はないものの、かつて防衛産業は、重要である割には利益がほとんど出ない事業とされていました。2000年代後半以降、民間企業の撤退・縮小が相次いだ防衛産業が、なぜいま市場で再び注目されているのでしょうか。

重工3社の株価が上昇している(出典:ゲッティイメージズ)

 この背景には、トランプ大統領が、米国への防衛依存をやめ、各国が自国の防衛費を増やすよう強く求めたことが影響しています。しかし、実際にはそれ以上に大きな影響を及ぼしているのが、近年進む防衛事業の再評価です。

 かつて、防衛省との契約トラブルにより民間企業が防衛産業を縮小・撤退した経緯や、株主や投資家との板挟みに苦しんだ過去を乗り越え、防衛産業が今後どうなろうとしているのか。そして、防衛産業に対する国のスタンスは、今後どうあるべきなのか。日本における防衛産業の盛衰を振り返りつつ、考察したいと思います。

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