防衛産業はなぜ“儲かる”ようになったのか? 重工3社に見る変化の本質(6/7 ページ)

» 2025年05月12日 08時30分 公開
[草刈貴弘ITmedia]

市場が期待感を寄せていることは事実

 IHI、三菱重工、川崎重工といった重工3社の株価は、前述のような防衛費の拡大に加えて、日本政府が過去の不誠実な対応を反省し、防衛産業の衰退を防ぐため、本腰を入れて「防衛産業を後押しする」と明言し、利益率の改善に踏み切ったことが大きく影響しています。

 こうした変化に、市場が期待感を寄せていることは事実ですが、一方で“裏切り”にも敏感に反応する可能性は大いにあります。

防衛産業に市場は期待を寄せているが……(出典:ゲッティイメージズ)

 かつて富士重工への約束を守らず、訴訟を起こされたケースのように、防衛産業を後押しするような方針の変更や方針を変更したり、取り下げたり、企業に過度なリスクを押しつけたりするようなことがあれば、たちまち信頼は失われ、これまで伸びてきた防衛関連の重工3社の株価にも大きな影響を与えるでしょう。

 市場そのものが「防衛省とはビジネスをするべきではない」と見なし、日本の防衛産業が衰退することはもちろん、万が一国が民間企業に対して不誠実な態度を取れば、日本の株式市場にいる多くの外国人投資家も、投資資金の引き上げを行いかねません。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR