これほどの好決算ならば、市場は大きく歓迎するはずだった。しかし「好決算でも急落」という現象は、株式市場においては決して珍しくない。
その最大の理由は、市場が既にポケポケ効果を織り込み、株価がすでに高騰していたことにあるだろう。
実際、ポケポケのリリース直前の2024年秋頃から株価は急激に上昇し始め、わずか半年程度で約4倍に跳ね上がっていた。
そのため、市場では業績の急回復をかなり織り込んでおり、決算発表によっていったん「材料出尽くし感」が出たと考えられる。いわゆる「うわさで買って、事実で売る」という相場格言の通り、株価が推移したわけだ。
もう一つの理由は、成長鈍化の懸念だ。DeNAは今回、通常の33円に加え32円の特別配当を含む65円を期末配当として決定し、配当性向は約30%に達した。この水準は「JR東日本」や「テレビ東京」といった老舗企業と同等だ。
しかし、成長企業が配当を出すことには市場が敏感に反応する。なぜなら、成長企業は手元資金をさらなる投資に回し、事業拡大を目指すケースが多いためだ。配当を出すことは、次の成長の柱が見えていないとの受け止め方にもつながる。
ポケポケは確かに好調だが、市場が評価するのはその持続性である。次のヒットがなければ、再び業績は低迷するかもしれないという懸念が常に市場に付きまとう。
DeNAは2026年3月期における業績予想を非開示とした。確かに、ゲーム業界は爆発的なヒットやその反動減に翻弄され、売り上げや利益の不確実性が高い。しかし、任天堂やコーエーテクモなど、トランプ関税にゆれる環境下でも業績予想を出しているゲーム企業も多数存在する。市場の反応を見る限り、予想の非開示は市場関係者にとってネガティブに映ったのかもしれない。
DeNAはここ数年、主力のゲーム事業に収益の大部分を依存する構造から脱却を試みてきた。ライブストリーミング事業の「Pococha(ポコチャ)」やヘルスケア・メディカル事業、「横浜DeNAベイスターズ」を中心としたスポーツ事業など、多角的な事業ポートフォリオ構築を進めてきた。
しかし、実際に数字を見ると、その取り組みは道半ばと言わざるを得ない。
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