2024年9月に新リース会計基準の最終基準書が公表されてから約8カ月が経過した。準備を進める企業も増えてきている中、経理担当はどのような課題を抱いているのか。プロシップ(東京都千代田区)が調査を実施した。
新リース会計基準について、「とても影響があると思う」とした人は28.1%だった。「少し影響があると思う」とした47.7%と合わせて、75.8%が「何らかの影響がある」と感じていることが分かった。
適用準備に向けた現在の状況について、最も多い回答は「会社全体での取り組みはこれからだが、今後の予定が概ね決まっている」となり、45.1%に上った。次いで、「プロジェクトチームが発足し、会社全体で取り組み中」(34.4%)が続いた。
制度施行を約2年後に控え、進行中のフェーズに入っている企業の様子が明らかになった。一方で「制度理解のためセミナー参加など、個人的に情報収集中」(8.4%)、「まだ準備を始めていない」(12.1%)といった回答も一定数あり、対応にはばらつきがあると考えられる。
新リース会計基準の検討に当たり、特に大変だと思うイベントとは。最も多い回答は「影響額の試算」で、45.3%。その他「会計論点整理」(44.5%)、「対象契約の調査、洗い出し」(39.3%)が上位となった。
「経理規定など社内規定の策定」「グループ会社展開」といった社内体制整備は下位にとどまる結果に。「まず全体像を掴むこと」が最優先の課題として認識されていると明らかになった。
担当監査法人以外の第三者のアドバイザリーについて「すでに契約済み」とした人は15.9%だった。「契約済み」「検討する」という回答を合わせて、58.0%の企業が外部支援活用を想定していると判明した。
新リース会計の対象になる可能性のある契約書の洗い出し状況について、「すでに調査済み」は23.5%だった。「現在調査中」の53.9%と合わせて、77.4%が何らかの形で調査に着手し、制度対応に向けて具体的な実務工程が進みつつあると分かった。
一方で「未定/不明」という回答は16.3%と2割近くに迫った。準備の遅れや情報不足も散見する結果となった。
新リース会計基準の影響額を試算する場合の切り口は「自己資本比率」が48.8%に上り、最も多かった。以降は「総資産額」(37.2%)、「ROA」(30.9%)と続いた。
検討に時間がかかる会計論点は「リース期間」が最も多く、40.0%。その他「リースの識別」(35.6%)、「少額資産」(33.7%)が上位に挙げられた。特に、「リース期間」は契約更新や解約オプションの扱いに直結するため、その判断をめぐって議論が長引きやすい点が背景にあると考えられる。
会計と税務の乖離が「申告業務に与える影響」については、86.1%の企業が「影響がある」と回答した。内訳は、「影響は非常に大きい」が19.5%、「影響はどちらかといえば大きい」が44.3%、「影響はどちらかといえば軽微」が22.3%。
リース管理システムの新規導入・刷新予定が「ある」とした人は35.4%となった。「検討中」とした23.0%と合わせて、58.4%が新システム導入を考えていることが明らかになった。
調査は5月8〜9日にインターネットで実施。経理担当者1007人から回答を得た。
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