オフィス出勤の復活により、リアルコミュニケーションの価値が見直されている。
最大のメリットは、数値で測れない(非認知的)情報の伝達だ。表情、声のトーン、身振り手振りといった非言語コミュニケーションは、テキストや音声だけでは伝わらない。心理学者のメラビアンの研究では、コミュニケーション全体の93%が非言語情報だとされている。
特に新入社員にとって、この非言語情報は貴重だ。先輩の仕事への取り組み方、顧客との接し方、困難な局面での判断力などは、言葉では説明しきれない。こうしたスキルは実際に同じ空間で働くことで自然と学習できる。
しかしリアルコミュニケーションには課題もある。オンラインでは制御しやすかった雑談や私語が、対面では長時間化しやすいのだ。週1〜2回の貴重な出社日だからこそ、コミュニケーションへの期待が高まり、結果として非生産的な時間が増えてしまう。
オフィス出勤の復活に伴い、以下のデメリットが顕在化している。
リモートワーク中心だった社員にとって、対面での会話は新鮮だ。そのため、ついつい話が長くなってしまう。週に数回しか会えないという希少性が、かえって会話を長引かせているのだろう。
オープンオフィスでは、他人の会話が気になって集中できない社員が続出している。在宅勤務に慣れた社員にとって、周囲の雑音は想像以上のストレスだ。ロッテ(東京都新宿区)の調査によると、オフィス復帰後に「集中できない」と回答した社員は8割に達したという。
「せっかく集まったのだから」という理由で、本来不要な会議が復活している。リモートワーク期間中に効率化された業務フローが、オフィス出勤により元に戻ってしまうケースが多い。30分で済む議題を2時間かけて議論するような、非生産的な会議が再び増えている。
これらのデメリットを放置すると、せっかくのオフィス出勤の効果が半減してしまう。だからこそ、上司としての適切な指導が必要なのだ。
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