それではチームの雰囲気を壊さずに、長時間の雑談を注意するコツを紹介しよう。以下の3つを心掛けたい。
最も重要なのは、雑談そのものを否定しないことだ。「みんなで情報共有できていいよね。ただ、今日は午後3時までに資料を仕上げる必要がある。そろそろ切り上げて作業を始めよう」このように、まずは雑談の価値を認めることだ。
特定の社員を名指しで注意しないほうがいい。チーム全体への声かけにしてはどうか。「今日は出社日なので、午前中は集中作業、午後は打ち合わせという流れでいきましょう」と全体に向けて話すのだ。メールでチーム全員に注意喚起するのもいい。
前回の連載でも紹介した、「タイムボクシング」というテクニックを組織内に広めるのもいい。どの時間帯にどの作業に集中するのか。あらかじめスケジュールに「タイムボックス」として表記し、チーム全体で共有するのだ。こうすれば、終わりの時間を意識せずに雑談を続けることはなくなるだろう。
大事なことは「雑談をするな」と指示しないことだ。「ただ黙々と業務に打ち込めというのなら、在宅ワークのほうがよっぽどいい」「私たちを監視したいのか?」と思われては本末転倒だ。「時間を有効活用しよう」という提案として伝えることが重要である。
これらのコツを実践する際は以下の点に注意したい。
まず、上司自身が雑談に参加していた場合は、素直に認めることだ。「私も楽しくて話し込んでしまいましたが」と前置きすることで、メンバーも受け入れやすくなる。
また、タイミングも重要だ。雑談が最も盛り上がっている瞬間ではなく、少し落ち着いたタイミングで声をかける。急に話を遮ると、かえって反発を招く可能性がある。
オフィス出勤の復活により、リアルコミュニケーションの重要性が再認識された。しかし、貴重な出社日を非生産的な雑談で消費してしまってはデメリットのほうが多くなる。
上司として必要なのは、コミュニケーションの価値を認めつつ、適切な時間管理を促すこと。雑談を完全に禁止するのではなく、メリハリをつけて効果的に活用しよう。コロナの時代を越え、チームとしての真価が問われる時代になってきた。ただ「元通り」にするだけではなく、より生産性の高いチームとして進化させるきっかけにしたい。
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