高価格帯シャンプー「THE ANSWER」の施策では、SNSの声をすぐに広告に反映するという取り組みを行った。当初のCMでは、同シャンプーの特徴の1つである「泡立てる前に髪に塗って使う塗り洗い」はあまり訴求されていなかった。野原氏は当初、「塗り洗いに関しては少し面倒くさく感じる人もいるかもと考えていた」と語る。
しかし実際には、顧客の「塗り洗い」への反応は肯定的で、「実験みたいでとても面白い」といった声がSNS上で上がっていた。そこで同社は訴求方法を変更。塗り洗いを他のシャンプーとの差別化ポイントになると再評価し、新たな広告動画「塗り洗い編」を制作した。
これらの施策を行う上で、同社は部門ごとのリレー形式ではなく、研究やマーケティングなどの各担当者が同じチームで働く体制を採用。2週間に1度、市場の声を集めて全員に共有することで、迅速に施策へ反映できるようにした。
また、ブランドイメージの“一貫性”にも力を入れた。製品開発には数年の時間がかかる一方、市場の流行や競合は常に変化していく。そこで注目したのが「感情のニーズ」だという。「『髪がきれいになることで自信がつく』といった感情は時代に左右されにくい」と、野原氏は語る。複数展開しているヘアケアブランドを人の感情に基づいてポジショニングすることで、各ブランドの世界観やコンセプト、商品設計に一貫性を持たせた。
同社は高価格帯シャンプーを含めたインバスヘアケア商品の売り上げを、2027年までに2023年比で1.56倍に伸ばすことを目指す。2025年夏にも高価格帯シャンプーの新たなブランドを展開する予定だ。
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1本1500円は当たり前!? 物価高でも高価格シャンプーが売れ続けるワケCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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