ドラッグストアのシャンプー売り場で、ある変化が起きている。これまでは花王やP&Gジャパン、ユニリーバ・ジャパンといった大手メーカーの商品が大多数を占め、価格も1000円以下が一般的だった。しかし、2015年頃から新興企業が手掛ける1500円前後のシャンプーが目立つように。それまでのシャンプーになかった高い機能性や使い心地の良さから、じわじわと人気が拡大している。
インテージの調査によると、2023年のシャンプー1リットル当たりの平均購入金額(性年代別)は、すべての性年代で上昇。中でも、15〜29歳の女性が最も高い1964円で、2017年(1387円)の約1.4倍となった。同社市場アナリストの木地利光氏は「セルフケア需要の拡大により、肌や髪への刺激を抑えたオーガニックシャンプーのような高付加価値・高価格シャンプーの人気が高まっています」と分析する。
高価格シャンプー人気の火付け役となったのが「BOTANIST(以下、ボタニスト)」だ。化粧品や美容家電の企画開発、販売などを手掛けるI-ne(アイエヌイー、大阪市)が2015年に発売した。
I-neの大菅研登氏(ビューティーケア事業本部 本部長/ブランドプロモーション部 部長)によると、ボタニストの開発に着手したのは2014年春頃だという。当時のシャンプーは、大手メーカーが展開する1000円以下の商品か、美容室でプロが使う数千円以上の商品が主流で、1000〜1500円の商品があまり存在しなかった。「高品質なシャンプーを1000〜1500円の価格帯で出せば、勝機があるのではと考えました」(大菅氏)
ボタニストの中身には植物由来成分を配合し、美容室で使われるシャンプーのような洗い心地を再現。パッケージは、市販シャンプーで定番化していた華美なデザインではなく、透明のボトルに白黒ラベルというシンプルなデザインを採用した。
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