大手メーカーや新興企業が次々とブランドを打ち出し、拡大を続ける高価格の市販シャンプー市場。美容系総合ポータルサイト「@cosme」を運営するアイスタイル(東京都港区)のリサーチプランナーは、拡大の要因にコロナ禍があると指摘する。
「コロナ禍のマスク生活では、思うようにメークができない日々が長く続きました。こうした中で新しい自己投資の対象として、ヘアケアが台頭したのです。入浴の一工程だったシャンプーの時間が、リフレッシュしたり自分自身をケアしたりする時間に変わりました」(アイスタイル リサーチプランナー)
シャンプーに対する認識が変わったことで、消費者の選び方も変化した。スキンケアのように、自分の髪質に合うもの、ダメージケアやうねりケアなど悩みを改善してくれるものを求めるようになっているのだ。かつては日用品だったシャンプーが、メークやスキンケアアイテムと同じ扱い=化粧品化しているといえる。
シャンプーの化粧品化は、長引く物価高で家計が厳しい中でも、高価格商品が売れ続ける要因にもなっている。化粧品を選ぶ際、効果や使い心地などさまざまな観点から「購入=投資すべき」と判断すれば、たとえ高価格であっても購入する傾向がある。こうした消費者の意向が、化粧品化したシャンプー選びにも反映されているのだ。
高価格の市販シャンプー市場での競争は、今後ますます激化していくだろう。I-neはボタニストの強化を図り、頭皮ケアに特化したシリーズや、エイジングケアに特化したシリーズに注力している。3月には、ヘアカラーをしている人をターゲットにした新ブランドも立ち上げた。花王は今秋から来年にかけ、第2弾、第3弾の新ブランドを投入する。メルトの商品ラインアップも拡充する予定だ。
メーカーだけでなく、「&be(アンドビー)」や「Wonjungyo(ウォンジョンヨ)」など、人気メイクアップアーティストが手掛ける化粧品ブランドからも高価格シャンプーが登場している。プレイヤーが続々と増える中、高価格シャンプー市場で生き残りをかけた各社の取り組みが続く。
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