「2000円前後の本当に使えるスキンケア」「3分でできる簡単化粧直し」「ほめられ髪の作り方」——これらは、資生堂の美容部員がSNSで公開した投稿の一部だ。美容部員と聞くと、百貨店やコスメショップの店頭に立ち、一対一で顧客の話を聞きながら接客するというイメージを持つ人も多いだろう。現に、資生堂にもパーソナルビューティーパートナー(以下、PBP)と呼ばれる美容部員が多数在籍している。
その一方で、現在、資生堂グループのデジタルマーケティング業務やデジタル・IT関連業務を手掛ける資生堂インタラクティブビューティー(東京都中央区)には、デジタルでの活動に特化したPBPが約40人在籍。Instagram、XなどSNSへの投稿、ライブコマースといった活動を行っている。中には数万人のフォロワーを抱え、人気インフルエンサーのような存在になっているPBPも。デジタルでの活動に特化したPBPについて、同社の河原由香理氏(DX本部 オムニエクスペリエンス推進部 オムニPBP企画グループ)に話を聞いた。
コロナ禍ではさまざまな業界が打撃を受けたが、化粧品業界もその1つ。要因として、休業要請で店舗が営業休止に追い込まれたこと、営業再開後も、感染防止のため化粧品を実際に塗って試すといった店舗ならではのサービスをすることが難しくなっていたこと、マスク生活で消費者がメークをする機会が減少したことなどが挙げられる。
現場で働くPBPはお客が来られない状況や、来てもこれまでのように接客ができないことに危機感を募らせていた。「困っているPBPのためにデジタルを活用することで力になりたいと考え、2021年1月にプロジェクトを開始しました」(河原氏)。河原氏が考えたのは、PBPの活動の場を現場からデジタルに移し、これまでになかった顧客との接点を作っていくというものだった。
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