同社では、デジタルでの活動をメインに行うPBPを「オムニPBP」と呼んでいる。オムニPBPはSNSへの投稿やライブコマースを通して、新商品の紹介やトレンドのメーク方法、季節や肌質に合わせたスキンケアの方法を紹介。店頭での接客は、PBPならではの知識と技術を目の前の顧客1人だけに伝えるものだったが、SNSへの投稿やライブコマースは、何千、何万というフォロワーや視聴者に届けられるのが強みだ。
オムニPBPの取り組み開始後、顧客からは「オムニPBPの投稿を見て購入しました」「オムニPBPの〇〇さんが紹介していたから買いました」という声が寄せられているとか。オムニPBPによる活動全ての売上貢献効果を測定できているわけではないが、測定できる範囲の売り上げは大きく向上していると河原氏は話す。
現在、オムニPBPとして活動しているあーちゃん(SNS上の活動名)は、「店頭でもデジタルでもPBPの本質は変わらない」と感じているそうだ。「店頭でもデジタルでも『PBPを信用して買う』ことは同じです。資生堂の商品はどこにでも売っています。大事なのはどこで買うかではなく、『誰から』買うかということなのです」(あーちゃん)
オムニPBPの投稿は、どのように作られているのか。河原氏によると、投稿やライブコマースで取り上げる商品やテーマは、全てオムニPBPが決定しているのだという。オムニPBPごとにフォロワーの特色やニーズが異なるため、自身のフォロワーに合った商品やテーマを選ぶ必要があるからだ。あーちゃんによると、人気の投稿にはいくつかパターンがあるとか。「OKメーク、NGメーク」(TPOに合ったメーク方法を教えるもの)、「化粧直しの方法」「ポーチの中身紹介」「朝晩のスキンケアのルーティン紹介」は、比較的どのオムニPBPでも人気の鉄板コンテンツだという。
撮影はオフィスや自宅など思い思いの場所で行っており、編集方法もオムニPBPに一任。どの写真や動画を使うか、どんな投稿文にするかなどオムニPBPそれぞれの個性や感性を生かすため、あえてマニュアル化しない方針をとっている。
異例の350万本突破 リップモンスターが口紅市場で“モンスター級”になれた理由
物価高なのになぜ? 1万円超えの「諭吉コスメ」が売れ続けるワケ
「広告費0」なのになぜ? 12年前発売のヘアミルクが爆売れ、オルビス社長に聞く戦略
「バズり」を逃さず「関係ない商品」も売る――オルビスの緻密な戦略がすごいCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング