商品は完成したものの、新興企業の実績のないシャンプーを置いてくれるドラッグストアはない。大菅氏によると「こんな高いシャンプーがドラッグストアで売れるはずがない」と言われたこともあったという。そのため、まずは販売チャネルをECに限定し、実績をつくるところから始めた。
ECでの販売と並行し、当時はまだ新しかったInstagramでのプロモーションを実施。また、会社が持っていたインフルエンサーとの人脈を通じて、メイクアップアーティストや人気美容師にボタニストを配布するなど、地道なPR活動も続けた。その結果、Instagramを通じて徐々に口コミが広がり、ECの売れ行きは好調に推移した。
ECでの販売実績を作ったボタニストは、ドラッグストアへと販路を拡大。実店舗での売れ行きは大菅氏が「予想以上だった」と驚くほどで、在庫が追い付かず数カ月入荷待ちとなることも。発売からの累計販売個数は1.7億本(2023年12月時点)を突破した。
ボタニストの大ヒットを受けて、高価格シャンプー市場には、新興企業が次々と参入することになる。中でもヴィークレア(東京都港区)の「アンドハニー」、ステラシード(東京都港区)の「エイトザタラソ」が好調だ。
ボタニストを手掛けるI-neも、2021年に新ブランド「YOLU(ヨル)」を投入。累計販売個数は5000万本(2024年5月時点)を突破し、ボタニストに匹敵する人気ブランドに成長させている。
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