なぜコロナ禍を経て「香水・オーデコロン市場」が2年で約1.9倍に急拡大したのか。
「巣ごもり需要により自宅時間を快適にしようと、まず『ルームフレグランス』や『アロマキャンドル』が注目され、『いい香りは癒やしや気分転換になる』という価値観が広まっていきました。
加えて、マスクを付けることで周囲の香りを感じづらくなったので、『この機会に自分の好きな香水を付けちゃおう』というムーブメントがありました。普段は周囲に迷惑をかけないようにと香水を控えていた人たちが、行動を変えたんです」
「香り」への注目度が上がった結果、SNSでは「沼らせ香水」「モテ香水」といった投稿が目立つように。香水のサブスクや量り売りサービスも同時期に登場し、定着していった。
「世界的な潮流では、かつてファッションやスニーカーの限定品などにかけていた3万〜5万円の予算を『香水』にシフトする傾向が見られるそうです」
調査会社のIMARC Group(アイマークグループ、インド)によれば、グローバルの香水市場規模は2024年に396億ドル(約5兆6500億円)と評価され、2033年には613億ドル(約8兆7400億円)に達し、年平均5%の成長が見込まれている。
国内では、百貨店がニッチフレグランスに注力する動きも。伊勢丹では、香水の需要拡大により2023年秋に本館フレグランスコーナーの面積を1.5倍に拡大。中でもニッチフレグランスは過去3年間で売上高1.8倍と好調だ。年1回の香りの祭典「サロン ド パルファン」も年々規模が拡大し、2024年は日本初上陸を含むニッチフレグランスを多くそろえた。
大丸神戸店でも、2025年5月21〜27日にフレグランスの祭典「carre de parfum(カレドパルファム)」を実施。世界中からニッチフレグランスの注目ブランドを集めた。
ノーズショップでは、引き続き店舗を拡大しつつ、いずれは日本発のオリジナルブランドをつくりたいと考えている。すでに、自社のフレグランスブランド「KO-GU(コーグ)」を展開しているが、香りそのものはフランスでつくっている。「日本の調香師による日本のブランド・香りとして世界に打って出たい」と中森氏は意気込みを示した。
ノーズショップの調査によると、国内で香水を日常的に使用する人は約25%にとどまる(20〜40代の男女300人が回答、2025年2月に実施)。一方、20代女性に限ると約49%に上昇する。若年女性にとっては、香水の使用が一般的になりつつあるのかもしれない。
1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や2020年〜約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月〜は東京拠点。
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