この記事は『映画ビジネス』(和田隆/クロスメディア・パブリッシング)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。
洋画の興行収入が落ちてきていますが、それでも洋画がこれまでの日本の豊かな映画文化を培ってくれた存在であることは間違いありません。日本における洋画配給の仕組みを紐解きながら、映画ビジネスの世界をさらに探っていきます。
皆さんは、映画館で映画を鑑賞する時、その作品の配給会社をどこまで認識しているでしょうか。配給会社とは、映画の上映権などの権利を買付け、映画館に営業して公開し、作品の宣伝も手掛けています。
上映が始まると配給会社(もしくは製作会社)のムービングロゴ(会社名)が表示されますので、見れば「知ってる」「見たことある」となると思いますが、配給会社まで意識している人はかなりの映画ファンでしょう。
ハリウッドの洋画メジャー映画会社にはワーナー・ブラザース、ウォルト・ディズニー、ソニー、ユニバーサル、パラマウントの5大メジャーがあり、日本国内ではワーナー、ディズニー、ソニーの作品を各現地法人(支社)、ユニバーサル作品を東宝東和、パラマウント作品を東和ピクチャーズが配給しています。
それ以外の洋画はインディペンデント系(独立系)、国内準メジャーと言われるギャガ、アスミック・エース、キノフィルムズ、ハピネットファントム・スタジオなどが配給。松竹、東宝、東映も年に数本の洋画を配給していて、KADOKAWA、日活も邦画製作とともに洋画を配給しています。
洋画メジャー会社、東宝東和、東和ピクチャーズは、主に全世界マーケット向けの作品を日本向けにローカライズして配給宣伝。それ以外の欧州や東南アジア、韓国、中国、インドなどの世界中の映画をインディ系の会社が主に配給宣伝しています。1980年後半から2000年代にアート系の作品を中心に上映したミニシアター(単館)ブーム時には、東京が世界中の映画が最も見られる都市と言われました。
なお、外国映画の輸入配給業者の団体として、国内には社団法人外国映画輸入配給協会があります。国内の配給会社8社が正会員、29社がサポート会員として加盟しています(2025年4月現在)。
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