帝国データバンクの調査によると、「書店」の倒産件数は2025年1〜5月に1件にとどまり、前年同期(11件)を大きく下回ったことが分かった。年間を通じても過去最少のペースとなっており、書籍の売り上げに依存しないビジネスモデルへの転換が好影響をもたらしている。
近年では、ボールペンやノートなどの文具や雑貨の取り扱いが強化され、雑貨コーナーを大々的に展開する店舗や、カフェの併設、大手雑貨店との共同出店といった動きが目立っている。
このように、書籍の売り切りを目指す従来型のビジネスモデルから、顧客が長時間滞在できる「交流拠点」や「休憩施設」としての役割を持つ「滞在型」の売り場づくりへとシフトする動きが広がってきた。不採算店舗の閉鎖や従業員の削減といったスリム化策に加え、新刊書籍の売り上げに頼らない新たなビジネスモデルへの転換が進んでいる。
また、豊富な在庫や書籍の発売情報といった専門知識を生かし、学習塾などと連携して学生向けの販売サービスを展開するなど、書籍販売のスタイルを変化させる経営戦略を取る企業も見られた。従来の書籍販売に新たな付加価値を加える企業努力によって業績が回復した例もあり、実際、2024年度の業績が明らかになった書店のうち、「増益」となった割合は39.9%で、過去10年で2番目に高い水準となった。
一方で「活字(書籍)離れ」やインターネット書店の台頭、電子書籍の普及などにより、書店を取り巻く経営環境は依然として厳しい。2024年度の損益動向では34.4%が赤字となり、「減益」(23.9%)を含めた「業績悪化」企業の割合は58.3%に達し、6割近くを占めた。
こうした中、経済産業省は2024年3月に「書店振興プロジェクトチーム」を立ち上げ、政府の骨太方針にも出版業や書籍小売業への支援が明記された。帝国データバンクは「書店存続への注目度が高まっているなかで、縮小する書籍販売のニーズをどのように吸い上げ、再び書店に来訪する客数を増やすか、各社の経営戦略が問われている」と指摘している。
今回の調査は、負債1000万円以上で法的整理による倒産を対象とし、調査期間は2000年1月1日〜2025年5月31日まで。
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