ここまで見てきたように、顧客に選ばれるブランド体験の実現には、社員の皆さん一人一人の発想と行動が大きな役割を果たしています。そして、その発想を引き出し支える存在として、生成AIは単なる業務効率化のツールではなく、共に考える“思考のパートナー”となりつつあります。
生成AIの強みは、膨大な情報をもとに市場や生活者の兆しを捉え、思考を広げ深めてくれる点にあります。実際に筆者が見聞きした範囲でも、「顧客が求める背景には何があるのか」「気付きにくい変化の兆しとは何か」といった問いに対して、多角的な視点からヒントを返してくれることで、社員の皆さんの中にある着眼点の芽を育てている様子がうかがえています。
このような共創が生まれることで、社員の皆さんはこれまで以上に自由に、そして自信を持って発想し、行動に移せるようになります。新しい提案の壁打ちや、チーム内の視点共有、施策の型づくりといった創造的なプロセスも、自然に業務の中に組み込まれていくはずです。
さらに、生成AIの活用は、スキルや経験の差を超えて、誰もが自分らしく創造的に働ける“土台”を提供します。実際に「考えをまとめやすくなった」「業務の優先順位が整理できた」といった声も現場では増えており、AIの支援が社員一人一人の前向きな一歩を後押ししています。
最終的には、こうした社員の創造性の積み重ねが、「このブランドだからこそ」と顧客に感じてもらえるような、意味のある体験につながっていきます。
ただ、どれだけテクノロジーが進化しても、顧客の心を動かすのは、社員の皆さんの発想と内に秘めた思いに他なりません。技術の力を柔軟に取り入れながら、日々顧客を思い、切磋琢磨を重ねる──。そんな姿勢が、これまで以上に重要になってくるのではないでしょうか。
次回第3回では、「データ活用 × CX」をテーマに、顧客の動きをデータで把握し、それをもとに顧客体験をアップデートするサイクルをどのように作っていくべきかについてお話しします。どうぞご期待ください。
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