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全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)に続き、国内航空会社で3位のスカイマークだが、あるランキングで3年連続の1位となり「2強」に負けない人気を誇っている。
スカイマークが3年連続で1位に輝いているのが、日本生産性本部の実施している「JCSI(日本版顧客満足度指数)」調査だ。同調査は、日本最大級の顧客満足度調査として、「顧客満足」「顧客期待」「知覚品質」「知覚価値」「推奨意向」「ロイヤルティ」の6指標を数値化するもの。
2019年度調査までは、新幹線を含む「国内長距離交通部門」でスターフライヤーが10年連続の1位を獲得していたが、スカイマークは2020年度に初めて首位に立ち、2024年度調査まで5回のうち4回で1位となっている。
特に利用者から評判なのが、受託手荷物の返却スピードだ。飛行機に乗った際、着陸後に受託手荷物の受け取りスペースに着いてもなかなか荷物が出てこず、やきもきした経験のある読者も多いだろう。しかし、スカイマークに関してはSNSで「着いた瞬間に荷物を回収できた」「人より先に荷物が出てきている」といった声が多い。
「確かに、お客さまのアンケートで『受託荷物の受け渡しが早い』という声を多くいただきますね」と話すのは、スカイマークでCS推進室の室長を務める戸田健太郎氏だ。一体なぜ、早いのか。
戸田氏によると、一般的に飛行機が着陸してから、荷物が受け取り用のレーンで出てくるまでは、次のような流れがある。まず、着陸と同時に機内の貨物室を開け、コンベヤーを接続して輸送用の車両と接続。数人の係員が貨物室から荷物を出してコンベヤーに載せていく。その荷物を車両へと積み込む別の係員もいて、一定数を積み終えたらターミナルまで輸送し、レーンへと流していく。
このうち、スカイマークが高速化できているポイントは大きく3つ。
1つ目は、貨物室から出すフローだ。スカイマークでは、運航している機体がボーイング社の「737-800型」のみなことがポイントだという。
「他社さんが運航している機体のうち、大型のものは貨物をコンテナに格納して機内に搭載します。コンテナの積み下ろしには専用の機材が必要で、1回に限られた個数しか動かせません。一方、当社の737-800型は『バラ積み』で機動性が高く、速度を高めやすいのです」(戸田氏)
車両に荷物を積み込んだ後の輸送でも工夫している。人件費などを考慮すると、機内の荷物を全て車両に載せて、一度の輸送で済ませるのが効率的だ。一方で、大量の荷物を一度に積み込むには時間がかかる。ターミナルに到着してもレーンに流せる荷物は1個ずつなので、非効率的だ。そこで、スカイマークでは車両に積み込む荷物をあえて小分けにすることで、効率性を高めているという。
「その他、利用者ごとにプライオリティを設けていないのも特徴です。他社さんですと、荷物を出す順番はマイレージなどお客さまのステータスごとですよね。スカイマークではステータスに関係なく荷物をお出ししており、工数が少ないことで高速化を実現しています」(戸田氏)
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