なぜ、たくさんの文字が並んでいるのかというと、それこそがドンキの「勝ちパターン」だからだ。長文になるほど文字は小さくなり、店頭で埋没しかねない。しかし、大きくデザインされた「ド」のロゴがあるので、お客はそこに目がいく。そして、長文の説明文を読んで納得し、棚のPOPに書かれている価格を確認して、購入するという流れである。
こうした背景があるので、「ビールにもたくさんの文字を付けよう」という声もあった。しかし、それでは価格がどうしても高くなってしまう。反対派を納得させるために、担当者はどのような手を打ったのか。
24缶入りのケースに着目した。国内ビールの包装を見ると、素材は段ボールである。上も下も段ボールで覆われているわけだが、ベトナムでは違った。缶を支える下部には段ボールを使って、上部にはフィルムを使用している。
この方法ならコスト削減につながると考え、同じ形式を採用しようと提案した。さらに、そのフィルムに長文をプリントするアイデアも加えた。結果として、それまで慎重だった人から「ま、それならいいか」と納得する声が出てきた。
6月6日、ドンキビールが店頭に並んだ。ドイツ産ホップ100%、フランス産モルト100%を使用していて、アルコール度数は6%である。1缶164円だが、24缶入りのケースで購入すれば、単価は152円まで下がる。
他社のビールを見ると、1缶200円前後である。つまり、50円ほど安いので、ビール党にとってはこの価格は魅力的に映るはず。しかし、SNSではこんな指摘が目立った。「容量を見ると、1缶330mlじゃないか。通常の缶に比べて、20mlも少ない。安いのは確かだが、なんだか引っかかるなあ」と。
手にとると、確かにひとまわり小さい。しかし、これにも事情があった。ベトナムの工場では350mlをつくっておらず、基本は330ml。もし350ml缶を製造するとなれば、日本から缶を輸入しなければいけない。となると、物流コストがかかって、価格がどうしても高くなる。
こうした事情から、缶のサイズは330ml。先ほど紹介したように、ドンキのクラフトビールもベトナムで製造しているので、サイズは330mlである。
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