自社で運営する店舗でも、テクノロジーを活用したリテールDXを進めている。代表例の一つがスマートショッピングカート「Skip Cart」だ。タブレット端末でバーコードを読み取り、レジに並ばずに決済できる。2018年のスマートストア1号店開業時に約200台を導入して以来、着実に進化を遂げている。
2025年3月時点で導入店舗数は249店、導入台数は2万1022台に達する。平均利用率は24.5%で、マンスリーユーザー(月に1回以上利用したユーザー数)は489万人に上る。
筆者も福岡県内の店舗で、Skip Cartを使用する様子を見学した。スキャンした商品をカートに入れて専用ゲートを通過すると、あらかじめチャージを済ませた同社のアプリから決済が完了する。
操作に難しさは感じられず、レジ待ちによるストレスもほぼない。利用する人にとっては、買い物がより快適になり、店にとってはレジに必要なスタッフを減らせるというメリットがある。
さらに、Skip Cartは「リテールメディア(小売り広告)」としての機能も備えている。AIが利用者の年齢や性別、これまでの買い物履歴に合わせて、オススメの商品を表示してくれる仕組みになっている。また、商品に合わせたクーポンも自動で出てくるため、その場で効果的な販促ができるようになった。
従来のテレビCMや、店頭POPに依存していた販促活動に新たな選択肢を提供したことで、来店客の衝動買いを後押ししている。メーカーとの協業により「計画購買が非計画購買に変わる」効果を実証し、従来の広告手法とは異なる購買行動を誘発している。
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