イノベーションは郊外から生まれる――。
福岡市と北九州市のほぼ中間に位置する宮若市(みやわかし)。人口2万5000人ほどの街に、日本有数のメーカーやIT企業など約50社が集結する施設がある。施設を運営するのは、3月に西友を買収すると発表し、話題となったトライアルホールディングス(HD、福岡市)だ。
同社は、最先端のテクノロジーを駆使しながら九州を中心にディスカウントストアを展開しているが、なぜ都心から離れた山間部に多くの企業が集まる施設をつくったのか。
福岡市からクルマで約1時間の山間部にある街で、トライアルHDは「リテールテックタウン ムスブ宮若」(以下、ムスブ宮若)という取り組みを2021年から行っている。
「むすんで、ひらくまち。」をキャッチフレーズに、廃校をリノベーションし、研究開発や店頭マーケティングの拠点となる施設を整備しているほか、研修イベント「宮若WEEK」を月に1回実施。
宿泊施設も用意し、企業間で交流できる環境を提供している。大手企業も参加するなど、垣根を超えて流通業界の課題解決に取り組んでおり、企業は使用料を支払えば個室を利用できる。
さらに、同施設の近隣には「トライアルGO脇田店 in みやわかの郷」を構える。一般客も利用する店舗だが、実証実験店舗としての側面もある。
例えば、売り場に設置しているカメラと電子棚札が連動する「自動値下げ」や、タブレット端末でバーコードを読み取り、レジに並ばず決済できるスマートショッピングカート「Skip Cart」、事前登録でセルフレジにて顔認証で決済できる「顔認証決済システム」などの最新機器を実装している。
実際の消費者の行動データも集められるため、開発者が店頭での反応を直接確認できる仕組みが整っている。これにより、商品を試して改善するサイクルをスピーディーに回すことができる。
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