トライアルHDの取り組みは、今後の地方創生の新しいモデルになるかもしれない。地方の山あいの街に日本を代表する企業が集まり、廃校だった場所が最先端のAI開発拠点に生まれ変わる。地域の資源を生かして新しい産業をつくり、雇用を増やし、地域に関わる人を増やす仕組みは、人が減り続ける他の地方都市にとっても参考になるだろう。
また、一社だけでは難しいDXも、他の企業の知識やデータと組み合わせることで、大きな成果を出せる可能性がある。トライアルHDが提唱する「横のDX」は、業界の壁を超えた連携の大切さを示している。
ムスブ宮若のようなリアルな「場」の存在は、デジタル時代だからこそ重要かもしれない。イノベーションを生み出すためには、人と人が顔を合わせて徹底的に議論し、試行錯誤を重ねる物理的な空間が求められる。
最先端企業が集まる米国のシリコンバレーも、スタンフォード大学や多くの企業が集結して形成されてきた歴史がある。国内でも筑波研究学園都市が、筑波大学やJAXAなどの研究機関を中核に産学官連携のイノベーション拠点として発展した例がある。
そのほか、関西のけいはんな学研都市や神戸医療産業都市(神戸市)などもあるが、流通業界を軸とするムスブ宮若の取り組みは新しいモデルといえる。
今後、トライアルHDは宮若市を起点に福岡全体でのイノベーション創出を目指していく考えだ。地方でも世界に通用するエコシステムを構築できるかどうか、その真価が問われるのはこれからだ。
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