なぜユニクロは万引犯を“訴える”のか? 裁判も辞さない背景に何が(2/3 ページ)

» 2025年07月01日 08時45分 公開
[産経新聞]
産経新聞

裁判も辞さず

 こうした状況を受け、全国でユニクロ約790店舗などを展開するファーストリテイリングは今月9日、万引行為への対策を強化すると公表。警察への被害届や刑事告訴だけではなく、盗まれた商品や関連する全ての損害について、窃盗犯側に裁判を含む民事手続きで請求すると明らかにした。同社は「安心して買い物ができる店舗環境を整えるため、断固たる姿勢で臨む」としている。

 同社を含む約160社・団体が加盟し、万引対策に取り組むNPO法人「全国万引犯罪防止機構」(東京)によると、全国の万引被害額は推計で年間約3460億円だが、万引被害で賠償を請求する企業は少ない。機構の実態調査によると、「賠償請求をしている」と答えた企業は令和6年調査でわずか10.9%(29社)。平成22年の調査でも8.8%(28社)とほぼ変わっていない。

 同機構の土門敬佳(たかよし)事務局長は「膨大な被害にも関わらず、小売業者も含め、万引被害に対する社会的な問題意識はまだまだ低い」と指摘。賠償請求が少ない理由について「請求手続きが周知されていなかったり、手間であると考える企業が多いことも一因」とする。

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