「鳥貴族」「串カツ田中」「新時代」格安串チェーンが繰り広げる“盛りすぎ戦争”の行方長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ)

» 2025年07月05日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。


 「鳥貴族」「串カツ田中」「新時代」といった大衆居酒屋チェーンで、“盛りすぎ串”が人気だ。鳥貴族では、5月1日から100万食限定でアイドルグループ「スーパーエイト」の大倉忠義氏が監修した「串ナゲットグリーン」(390円)を販売。通常、鳥貴族では串のメニューを2本セットで提供するが「串ナゲットグリーン」はスーパーエイトにちなんで8本盛り。1本当たりの価格は50円を下回り、コストパフォーマンスが高いことで知られる鳥貴族の中でもインパクトのあるメニューとなっている。

串カツ田中、うず高く積まれた「無限ニンニクホルモン串」(出所:プレスリリース)

 串カツ田中では、4月24日から期間限定で1本55円の「無限ニンニクホルモン串」を新名物として販売。5本、10本と注文する人も多く、発売からわずか2週間で100万本を突破し、現在は300万本を超える大ヒット商品となった。

 新時代の名物は、1本55円の鶏皮串「伝串」。来店した人のほぼ全員が注文する商品で、3段6本、4段10本といったピラミッドのメニューがあり、SNS映えもすると好評を博す。2010年に1号店をオープンして以降、現在までに累計2億7000万本以上を販売している。

 本稿では、3社の“盛りすぎ串”戦略を見ていこう。

値上げでも絶好調の「鳥貴族」

 鳥貴族の串ナゲットグリーンは、同チェーンの価格が370円均一から390円均一に値上げとなった5月1日に投入した。1皿・1杯の価格はほぼ400円となり「もう鳥貴族は大衆居酒屋でない。高くて行けない」という不満も聞こえる値上げだったが、5月の既存店売上高は前年同月比111.0%、既存店客数も同107.1%、既存店客単価が同103.6%と、好調に推移した。4月はいずれも前年同月比で、既存店売上高105.3%、既存店客数104.6%、既存店客単価100.6%だった。5月は値上げにもかかわらず、3つの指標ともに、値上げ前の4月を上回ったことになる。

串ナゲットグリーン

 串ナゲットグリーンは、同じタイミングで発売した「ニラ玉グリーン」とともに、スーパーエイト・忠義氏との初コラボメニュー。ちなみに、グリーンは忠義氏のメンバーカラーである。今回の好業績は同氏がもたらしたといった声も多く聞かれる。

ニラ玉グリーン

 忠義氏は鳥貴族を経営するエターナルホスピタリティグループ代表取締役社長CEOである大倉忠司氏の長男だ。アイドル活動の傍ら2024年7月にタレントプロデュースやコンテンツ開発の会社、J-pop Legacyを設立して社長に就任するなど、起業家の顔も持っている。タレントプロデュースでは、既にアイドルグループ「なにわ男子」などの実績がある。

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