企画がどんどん固まっていく中で、ある人から「5年ごとにウイスキーが届くことに、何の意味があるのか?」という質問を受けた。単純に5年ごとであればいいかなと思っていた小島さんは、この質問にうまく答えられずにいた。
では、いつ届ければいいのか。そこに、どんな意味を持たせればいいのか。あれこれ考えた結果、「子どもの節目に合わせて、ウイスキーのミニボトルが届く」という設計にした。3年、7年、10年、13年、16年……そして20年はどうか。
3年後は七五三、7年後は小学校の入学、10年後は2分の1成人式、13年後は中学校、16年後は高校の入学――。そんなふうに、子どもの成長の節目に合わせてウイスキーを届ける。受け取ったお客は、ウイスキーを飲みながら家族との時間を振り返る。このように企画をカタチにし、最終審査の場に持ち込んだ。
2021年12月。最終審査の結果は「合格」である。「ん? ちょっと待って。商品を販売したのは、合格してから3年半ほどたっているけれど、遅くない?」と思われたかもしれないが、その指摘はごもっともである。
20年間、きちんと届けるためには、さまざまな準備がいる。関係部署を回っていく中で「リスクが高すぎる」「本当に20年間も続けられるのか」といった声があったのだ。さまざまな問題が出てくる中で、それらをひとつずつ“つぶして”いった。時間がどんどん過ぎていく中で、まるでラスボスのようにたちはだかったのが「事業の継続性」である。
「人生を共に生きるウイスキー」という商品のコンセプトはおもしろい。絶対に売れるはずだと思っていても、お客の反応が違っていたらどうするのか。購入者が10人しかいなかったら、どうするのか。会社はその10人のために、20年間もサービスを続けなければいけないのか。
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