さらに、2026年にかけては10億円を投じて消費者とのコミュニケーション機能も強化する。これまで一般公開はしていなかったが、蒸溜釜を見渡せるデッキや、360度シアターを備えたセミナールームを新設。これから敷地内に原料のボタニカルを植える計画も進んでおり、2026年春ごろから工場見学を実施する予定だ。料金や動員目標は検討中とのことだが、すでにサントリー山崎蒸溜所・白州蒸溜所で同様の見学ツアーを実施しており、インバウンドの誘致にも期待がかかる。
工場の外でも、さまざまな接点強化に取り組んでいる。接点として大きな存在感を占める居酒屋などで「食中酒」としての認知拡大を狙うほか、この5月には「BAR グラスとコトバ」というポップアップ形式のバーを開催した。
単に商品を提供するだけでなく、アルコールを楽しむスタイルの提案やバー文化のアピールを狙った取り組みで、約4500人分の予約枠はオープン前に完売するなど盛況だった。さらに、イベント終了まで3500人のキャンセル待ちが発生し、その9割近くが20〜30代の若年層が占めていたという。若者の酒離れが叫ばれる昨今だが、まだまだ戦いようがあることを示すデータだ。
ジン市場を巡っては、アサヒビールが2024年にジンをベースにした「アサヒ GINON」を発売。キリンも同年に「KIRIN Premium ジンソーダ 杜の香」を発売し、1週間で年間目標の3割を達成する好スタートを切った。同商品はこの2月にリニューアルも実施している。サントリーも含めて各社がどのように好調な市場で新たな成長の道をたどっていくのか、目が離せない。
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