旧村上ファンドの動きに対してフジHDは警戒感を強め、2025年7月には買収防衛策(ポイズンピル)の導入を検討していることが明らかになった。
このポイズンピルとは、敵対的買収者が一定割合(おおむね20%超)の株式を取得した場合に、既存株主に対して新株予約権を無償で割り当てる仕組みだ。株主が新株予約権を行使すれば発行済み株式数が希薄化し、買収者が狙う議決権割合に届かなくなる。その結果、買収コストが跳ね上がり、実質的に敵対的買収を阻止できる。
加えて、予約権の無償割当日を取締役会が自由に設定できる条項も盛り込まれており、突発的な買収を防ぐ構造が付加されている。
この防衛策は、実際に新株を発行しなくとも、「発行されるかもしれない」という警戒感を市場に与えるだけで一定の牽制(けんせい)効果が期待される点が特徴だ。
もっとも、防衛策によって買収側が引き下がれば会社側の負担は生じないが、相手が引き下がらない場合はポイズンピルを発動せざるを得ず、その際には既存株主の株式も希薄化するリスクがある。
投資家がフジHDに対して注目しているのは、「テレビ局としての成長戦略」ではなく、同社が保有する不動産ポートフォリオに対する評価だ。
フジHDはフジテレビ本社ビルをはじめ、港区から千代田区にかけてフジサンケイビルなどの大型オフィスビル、スタジオ、商業施設を多数保有している。
株価急騰前のPBR(株価純資産倍率)は0.66倍で、時価総額よりも純資産の方が大きかった。言い換えれば「1万円入りの貯金箱が6600円で売られている」ような状態であり、明確な割安感があった。
現在では株価上昇に伴いPBRは0.95倍前後まで上昇し、1倍に近づいている。これにより、単純計算では資産の切り売りを行っても利益はわずか5%しか出ない。しかも、実際には譲渡益に対する法人税(約30%)や各種の取引コストも発生する。
さらに、大型不動産は流動性が低く、買い手を見つけるためには価格をディスカウントせざるを得ないことも多い。お台場の本社ビルのように自社利用が中心で賃貸収益が乏しく、デザインも特殊な物件は特に売却が難しいと考えられる。
このような条件を考慮すれば、名目PBRが0.95倍となった現状では、保有資産を前提とした投資戦略の妙味は薄れつつあるといえる。
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