これほどの規模で生物を繁殖させ、飼育しているのは殺虫剤や防虫剤など新商品の研究開発のため。生物の生態や特徴などを調べたり、開発している新しい薬剤に対する効果の有無や反応などを分析したりするのに活用している。
こうした努力の蓄積があるからこそ、セアカゴケグモやアルゼンチンアリなど特定外来生物の日本への侵入や、一昨年秋以降に韓国や欧州で問題になったトコジラミの繁殖など、その時々の新たな事象に対しても、即座に新たな商品を投入することができたのだ。
小さな命を投げうって研究・商品開発に貢献してくれた虫たちに感謝しようと、同社が執り行っているのが「虫供養」。約40年間、赤穂市内の寺院で続けられてきた恒例行事で、毎年1年間の研究開発が一段落する12月に営まれている。
昨年12月には、大量発生や被害拡散の報告が増えたカメムシやトコジラミをはじめ、ゴキブリやハエなどの“遺影”が寺院の本堂に並べられ、参列した研究者たちが合掌・焼香して虫たちの冥福を祈った。きわめてマジメな仏事だ。
小堀富広研究部長は「虫の生態を知らないことには商品開発を進めることができず、研究所で飼育している虫の存在は欠かせない。虫に『ありがとう』という気持ちで手を合わせている」と話していた。
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