「トップの不正」にどう対応したのか 国産ドローン企業が実行した“情報戦”世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

» 2025年07月25日 06時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

不祥事を「内部で収める」リスク

 こうした企業の不祥事が発覚した場合、可能なら内部での解決を望む心情も理解できる。ただ企業において、何かおかしな動きがあった場合、早い段階で外部の企業インテリジェンスに頼れば、その背景や思惑などの調査が可能になる。海外では当たり前のように行われているが、日本ではまだ広く知られていない。

 例えば、2024年に不可解な買収行為などで倒産した、「テレビデオ」などで知られた電機メーカーの船井電機も、早い段階で企業インテリジェンスに頼れば、結果は違っていたかもしれない。

早い段階で企業インテリジェンスを活用すれば、“最悪の事態”を避けられるかもしれない(画像提供:ゲッティイメージズ)

 ACSLのケースでは、企業インテリジェンスを使って調査したことによって、最悪の事態になる前に食い止められたのは不幸中の幸いだったといえる。金銭やプライベートの問題が絡み、経営陣がわらにもすがる状況になると、うわさを聞きつけた国外勢力などが隙をついて抜け目なく入り込んでくることも少なくないからだ。

 特に、ドローン業界のライバル勢力であり、工作に長けた中国勢なら、ただちに飛びついてきた可能性がある。理想は、こうした問題が表面化する前に、しかるべき監査体制を敷くことだ。それが企業の防衛策にもなる。

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