半分に削れば“2倍”伝わる――「メタボな話し方」をやめるコツ「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/6 ページ)

» 2025年07月28日 08時00分 公開
[横山信弘ITmedia]

情報が多すぎると相手は理解できない

 1956年、プリンストン大学の心理学者ジョージ・ミラーは「マジックナンバー7±2」という概念を発表した。人間の短期記憶には一度に7つ前後(5〜9個)の情報しか保持できないという法則だ。

 しかし2001年、ミズーリ大学のネルソン・コーワン教授は、このマジックナンバーを再検証した。彼の研究によれば、人間のワーキングメモリの実質的な容量は「4チャンク(情報のまとまりの単位)程度」が現実的な数字だという。

 さらに衝撃的だったのは、ミシガン大学のジョン・スウェラーの実験結果だ。彼は情報の種類や難易度によっては、実質的な処理容量が「2チャンク程度」にとどまることを発見した。つまり、難しい内容を伝える場合、人間は2つの新しい情報を処理するだけで精いっぱいになる可能性があるのだ。

 なぜミラーの「7±2」と実際の処理能力にこれほどの乖離(かいり)があるのか。答えは「チャンク化」にある。例えば、電話番号「0312345678」は9桁の数字だが、「03-1234-5678」と区切れば3つのチャンクとして記憶できる。情報を意味のある塊にまとめることで、処理能力は拡張できるのだ。

 しかし重要なのは、チャンク化できるのは「既知の情報」に限られるということ。初めて聞く複雑な概念や専門用語は、チャンク化が難しく、1つ1つが独立した情報として処理負荷がかかる。

 私も会社法の専門家と話をしたとき、なかなか頭に入らなかった。一つ一つ丁寧に説明してもらって、初めて理解することができた。前提となる知識が私に足りなさ過ぎたせいだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR