半分に削れば“2倍”伝わる――「メタボな話し方」をやめるコツ「キレイごとナシ」のマネジメント論(5/6 ページ)

» 2025年07月28日 08時00分 公開
[横山信弘ITmedia]

半分に削って2倍伝わる話し方

 先日、ある経営者から印象的な話を聞いた。『フランス人は10着しか服を持たない』(大和書房)という本を読んで、プレゼンの極意を学んだという。フランス人は服を10着ほどに絞り込む。しかし、それは決して窮屈ではない。むしろ、シンプルに整理することで、自分らしさが際立つのだという。

 話し方も同じではないか。情報を詰め込めば詰め込むほど、かえって伝えたいことが埋もれてしまう。

 ある営業部長は、新商品の提案資料を半分に削ったという。もともと20枚あったプレゼン資料を、思い切って10枚に減らしたのだ。確かに説明したいことはまだまだあった。しかし「商品の特徴を先に伝えるか、顧客の課題を先に伝えるか」と考えた末、顧客視点で資料を組み立て直した。すると、かえって反応が良くなったという。

 「細かい説明は、関心を持ってもらってから後日させてもらえばいいんです。むしろ、最初に全部話してしまうと、顧客が消化不良を起こしてしまう」

 まさにフランス人のクローゼットと同だ。最初から情報をフルで出す必要はない。周りから「話が長い」「回りくどい」といわれる人は、思い切って3分の1に削ってみるのもいい。スライドなら10枚を3〜4枚に。足りない情報があれば、相手の反応を見ながら足していけばいい。

 集中力には限りがある。多くを語れば語るほど、相手の理解は深まるわけではない。むしろ必要最小限に削ぎ落とすことで、伝えたい本質が際立つ。シンプルに整理することは、相手への最大の配慮なのだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR