リニューアルの目玉の一つが、共創スペース「FL@T」だ。41部署51人の社員が参加し、全4回開催したワークショップで集まった意見を基に「感じる、つながる、やってみる」というコンセプトを策定した。
FL@Tには、業務や食事が自由にできるワークラウンジやレセプションルームに加え、建築設計事務所である同社らしいスペースを用意した。「設計図面を見やすい大型モニターを設置し、メンバーが見ながら議論できる『レビュールーム』や、コンペなどの前に、チーム全員が集中して業務に取り組める『1day-PJルーム』を設けた」(木村氏)
ICTの活用も進めている。離れた場所にいる人と同じ空間にいるかのようにつながり、自然なコミュニケーションができるカメラ・スピーカー・マイク一体型のディスプレイ「OPEN HUB Window」を導入。大阪オフィスや武蔵野研究開発センターなど離れた拠点で働く社員との共創を目指している。関西拠点への表彰状授与といったバーチャル表彰式や東京と大阪をつないだイベントでのパネリスト登壇、ブレインストーミング、懇親会などで活用されているという。
AIアバターによる会議支援ツール「AIブレストツール」も導入した。会議のアイスブレイクや最初の意見出し、議事録をAIが担当することで、会議でのアイデアの量や質を向上が期待できるという。その他、ハイブリッドワークであることから、スマートフォンの位置情報を活用した居場所検索機能や、座席の予約システムも稼働中だ。
FL@Tは全面オープンに先立ち、2024年7月にプレオープンした。約10カ月で、300件以上の交流イベントや勉強会などが開催されているという。木村氏は「リモートワークやオンライン会議により減少していたリアルコミュニケーション創出の場となっている」と分析する。
今回のリニューアルにより、オフィス面積は47%、オフィス賃料や光熱水費は年間2億円以上削減された。健康増進と知的生産性の効果を NEBs(Non-Energy Benefits)により算出したところ、年間約4000万円以上の効果があることが分かったという。社員へのエンゲージメント調査においても、「自身の作業環境で効率的に働けているか」のスコアが12ポイント、「コラボレーションが実現できているか」のスコアが4ポイント上昇し、社員の働く環境に対する満足度にも寄与しているようだ。
新しいオフィスについて、木村氏は「及第点はもらえている」と評価。今後も継続的なモニタリングによる改善・効果測定を続ける他、ワークプレイスにおけるAI・ICT活用や自社技術の検証場所としての活用を見込む。
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