「ジャングリア沖縄」はなぜ叩かれるのか? 大自然と人工恐竜の没入感ギャップスピン経済の歩き方(3/7 ページ)

» 2025年07月30日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

“没入感”よりも際立ってしまうもの

 ご存じの方も多いだろうが、カリブの海賊は映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の世界をほうふつさせる、荒々しくもユーモラスな海賊たちの姿を、ボートに乗って見て回る室内ボートライド型アトラクションだ。

室内ボートライド型アトラクション「カリブの海賊」(出典:公式Webサイト)

 ぶっちゃけ、ただ人形が動いたり踊ったりしているだけなのだが、なぜリピーターが絶えず、こんなにも愛されているのか。薄暗い照明、銃声の効果音、水しぶきなどの演出が重なり、見ている者たちを作品世界に没入させているからだ。

 もしあのアトラクションがジャングリア沖縄のような広大な大自然の中、屋外で設置されていたら正直、あのような人気は出ていない。

 お天道様の下で見たら、どんなリアルで精巧な人形でも「つくりもの感」が強調されてしまう。音響や照明などで演出することも不可能なので、どうしても安っぽく見えてしまう。

 それは「恐竜」ならばなおさらである。

 どんなに精巧で巨大なものであっても、自然の樹木や草木の中に置かれると、“つくりもの”特有の異質感が際立ってしまう。「箱根 彫刻の森美術館」のように自然の中に点在する彫刻やオブジェを見て回る感覚に近いので、「よくできているねえ」という驚きや楽しさはある。しかし、ジャングリア沖縄がテレビCMで訴求していたような「没入体験」までは行き着かないのである。

 しかも、このように自然の中に“つくりものの恐竜”を展示する「見学型テーマパーク」というのは、実は既に日本全国にあふれている。つまり、ジャングリア沖縄の「自然の中に恐竜ロボット」というコンセプト自体が弱いのだ。

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