エレベーター事故の陰に“コスト削減” 点検1万円台の落とし穴(5/5 ページ)

» 2025年07月30日 09時36分 公開
[産経新聞]
産経新聞
前のページへ 1|2|3|4|5       

保守できないなら使用停止を 青木義男・日大特任教授

 エレベーターは生活をする上でのインフラの一部になっている。小さな子供が一人で乗ったり、ペットを連れた人が乗ったりするので、事故が起きるリスクは低くない。設置から40年を超えるようなエレベーターが一部の部品を入れ替えて稼働していることが、さらにリスクを高めている。

photo 青木義男氏

 メンテナンスにできるだけお金をかけたくないという所有者もいる。数百万円やときには1千万円以上かかる大規模な改修は特に進まない。しかし一部改修で済ませてしまうと、新旧の部品が混在してメンテナンスが難しくなるという問題もある。安全装置の設置も法改正前からあるエレベーターには強制力がないので進んでいない。

 日本人はエレベーターが安全だと思っているが、老朽化によってどんどんリスクが高まっている状況にある。昨今の夏の猛暑も劣化を早める原因になる。

国は法定点検の運用厳格化や罰則規定を設け、きちんと保守や改修ができていないエレベーターは使用停止にするなどの対策をとるべきだ。

前のページへ 1|2|3|4|5       

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR