人間の脳には、ミラーニューロンという特殊な神経細胞が存在する。
この細胞の働きは驚くべきものだ。周囲の人の言動のみならず、思考までも無意識にモデリングする(無意識のうちに周りを“鏡”のように受け止める)。つまり、人は良くも悪くも周囲の空気に「感化」されていくのである。
例えば、やる気のない職場に配属された新入社員を想像してほしい。最初はやる気に満ちていても、3カ月もすれば周囲と同じような態度になる。これはその新入社員の資質の問題ではない。ミラーニューロンによって、無意識に周囲をモデリングした結果なのである。
逆に言えば、このミラーニューロンの働きを利用すれば、可燃人の部下を変えることができる。部下個人を変えようとするのではなく、部下を取り巻く「空気」を変えればいいのである。
人を動かすには、実は順番がある。
私は長年の現場経験から、人のタイプを7つに分類している。先述した「自燃人」「可燃人」「不燃人」をさらに分解して7つに分ける。
まず自燃人から説明しよう。全体の約2割を占める、自ら火が付くタイプである。
「アピール自燃人」は承認欲求が強い。「君にしか頼めない」と言われると、すぐに動き出す。ただし、感謝や承認を忘れると急速にやる気を失う。扱いには繊細さが必要だ。
「エリート自燃人」は論理的で俯瞰力がある。組織全体を見渡し、最適解を瞬時に判断できる。説明は最小限でいい。意図を汲み取って、勝手に動いてくれる頼もしい存在である。
「ピュア自燃人」は直感的で明るい。「楽しそう!」という理由だけで飛び付く。深く考えないが、その軽さが組織のムードメーカーになる。継続力に課題があるものの、初動の起爆剤として貴重だ。
次に可燃人だ。最も大事な層である。なぜなら全体の約6割を占めるからだ。火を付ければ燃えるタイプである。
「アーリー可燃人」は比較的早めに動く。周囲の2〜3割が動き始めると「自分もやろうかな」と腰を上げる。だからまず「自燃人」たちを動かすことを先決にする。様子見の期間はそれほど長くない。信頼関係があれば、さらに動きが早くなる。
「レイト可燃人」はかなり慎重派だ。周りの過半数、できれば7〜8割が動いてから参加する。「みんながやっているなら安心」という心理で動く。最後の最後まで様子を見る、石橋を叩いて渡るタイプである。従って「レイト可燃人」よりも、まずは「アーリー可燃人」を動かすことが大事である。
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