Amazonの公式サイトには今も次のように書かれています。
Amazonは4つの理念を指針としています。お客様を起点にすること、創造への情熱、優れた運営へのこだわり、そして長期的な発想です。Amazonは、地球上で最もお客様を大切にする企業、そして地球上で最高の雇用主となり、地球上で最も安全な職場を提供することを目指しています。
この言葉の後に、それを実現するサービスとして、
カスタマーレビュー、1-Click注文、パーソナライズされたおすすめ商品機能、Amazonプライム、フルフィルメント by Amazon(FBA)、アマゾン ウェブ サービス(AWS)、Kindle ダイレクト・パブリッシング、Kindle、Career Choice、Fire タブレット、Fire TV、Amazon Echo、Alexa、Just Walk Out technology、Amazon Studios、The Climate Pledgeなどは、Amazonが先駆けて提供している商品やサービス、取り組みです。
――と書かれています。ここに広告収入を事業目的とすることは書かれていません。あくまでもサイドビジネスなのです。
リテールメディアは確かにAmazonにおける重要な収益源となりました。しかし、それが本業の価値を毀損するようでは本末転倒です。Amazonは今一度、自社のミッションを見つめ直す時期に来ているのではないでしょうか。
短期的な広告収入と引き換えに、長期的な顧客と任天堂のような優良なブランドパートナーの信頼を失うことの代償は計り知れません。任天堂との一件は、その警鐘と捉えるべきでしょう。真の「顧客第一主義」とは、広告主ではなく、購入者の利益を最優先することに他なりません。
デジタル変革の本質は、テクノロジーを活用して顧客価値を最大化することです。広告プラットフォームとしての成功が、ECプラットフォームとしての価値を損なうようでは、それは変革ではなく退化と言わざるを得ません。
Amazonがこのジレンマをどう解決し、再び「地球上で最もお客様を大切にする企業」へと回帰できるのか。それに時間がかかるようであれば、代わりの信頼できるプラットフォームに逆転されることもあるでしょう。
「DXすれば万事解決」は幻想 米ドラッグストア大手の破綻にみる、デジタル投資の落とし穴
ディズニーともコラボ 中国発・雑貨大手の巧みなIP戦略 店舗を「コンテンツ化」する仕掛けとは?
DXの本質は技術導入にあらず インドネシア小売大手に学ぶ、顧客データの徹底活用
高機能なのになぜ売れない? 「界隈消費」はマーケティング戦略をどう変えてしまうのか
無人店舗の真の価値とは? 「無人×古着ビジネス」に見る新たな可能性Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング