本来、飲料メーカーにとって自販機は、ほぼ「定価」で売ることができる収益率の高いチャネルという意味で、日本ではとても重要な位置付けとなっている。メーカーは自社グループ内に自販機オペレーターという部門を抱えることが多く、グループ内で収益を確保する方針をとる企業が多かった。
独立系のオペレーターもいて、複数のメーカーの飲料を提供する自販機を運営するという形態も少なくない。自販機というチャネルは日本では当たり前のように普及しているが、ここまで広く普及している国は世界的にも他にないという。都市部に集中居住していて、治安が極めて良いことなどがその理由とされているが、道を歩けば自販機にあたるというのは、日本独特の風景であるらしい。
ただ自販機のオペレーションは、販売するには人手はいらないのだが、在庫補充、売上金回収、ゴミ回収という工程が必要であり、実際にはそこを全て人間がやっている。それも自販機はかなり分散して配置されているため、ルートを組んで定期的に回りながら一連のオペレーションをこなしていかねばならず、簡単な話ではない。
その上、補充商品、回収ゴミを積んだトラックで回るのだが、自販機のすぐそばに停車できるとは限らない。飲料の箱を何箱も積んだキャリアーを引いて、階段を上がり降りしている補充スタッフの姿を思い出す方もいるのではないか。また、自販機の大半はいまだアナログ的な機器のため、在庫状況も現場に行かなければ分からないものも多く、補充に関してもノウハウが必要なのである。自販機オペレーションの現場では、かなりの労力がかかっているのである。
そんな自販機オペレーションの人件費負担も上昇の一途であり、自販機オペレーターの収益はかなり圧迫されつつある。それでも量が売れているのであれば、採算もとれるのだが、その売れ行きが思わしくない。
図表1は、清涼飲料に関する販売チャネル構成比の推移を示したものである。飲料販売の主要チャネルはスーパー、コンビニ、自販機だ。15年ほど前までは自販機はスーパーと並ぶ存在だったのだが、その構成比は下落の一途であり、存在感はかなり小さくなった
コンビニの出店拡大により「近くのコンビニで買う」という消費行動が定着したほか、コンビニコーヒーという強力な代替商品も自販機に打撃を与えた。さらに、飲料容器が缶からペットボトルに移行したことで、携帯性が向上し「すぐ飲むために自販機で買う」という需要も減った。このように、自販機以外で購入する機会が増えた結果、自販機チャネルの存在感は長期的に低下している。
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