Infiniteは国際ブランドが定める最上位ランクであることが分かったが、ここで疑問も湧く。別にVisaが定めるInfiniteの条件に合致しなくても、独自にプライオリティーパスや高額還元、イベント招待などのサービスを用意して、Visaのランクとしてはプラチナでも、「三井住友ブラックカード」などとして出しても良かったのではないか。なぜあえてInfiniteとして出す必要があるのか。
その答えを理解するには、キャッシュレス市場の変化とクレジットカード会社の収益構造を知る必要がある。
まずは、キャッシュレス化の進展で、採算が合うようになってきた点だ。Infiniteの基準をクリアするためには相応のシステム対応が必要だが、このランクの対象となる顧客は富裕層が中心で、数が限られる。「5人のためにカードを出すわけにはいかない。それが100人、1000人と増える方が投資対効果が上がってくる」と伊藤氏は話す。
昨今、この前提条件が大きく変わってきた。最も重要な変化は、キャッシュレス決済比率の急速な上昇によって、クレジットカードの利用額も上昇していることだ。現在4割程度とされるキャッシュレス決済比率が5割、6割と上昇すれば、同じ年収の人でもカード利用額は増加し、Infiniteクラスのカードを必要とする顧客層の母数が拡大するというわけだ。
さらに富裕層の構造そのものも変化している。従来は退職金や相続、事業継承などで年齢を重ねてから富裕層になるパターンが主流だったが、現在は現役時代からの会社経営や若い頃の相続など、多様なパターンで富裕層になる人々が増加した。こうした層は資産だけでなく収入も多く、日常的なカード利用額も大きくなる傾向にある。
そして三井住友カードには、他社にない強みがあった。2020年に投入したプラチナプリファードの成功により、高額利用者層の実態を把握できていたのだ。「たくさんお金を使う、カードで決済する人が集まってきている感じが強い」(伊藤氏)状況を踏まえ、Infiniteカードの事業性を見極めることができた。
この基盤があったからこそ、他社に先駆けてInfinite市場に参入する判断を下せたのである。
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