三井住友カードは2025年秋に「三井住友カードInfinite」を先行投入し、2026年春には総合金融サービス「Olive Infinite」として本格展開する計画だ。
では実際に、誰をターゲットにしているのか。最も分かりやすい指標は年間のカード利用額だ。プラチナプリファードは年間400万円の利用で最大4万ポイントを獲得できる設計だが、「本当に何千万も使われる方もいて、それでもプリファードを使ってくれている」(伊藤氏)状況が生まれていた。
職業面では、会社経営者や個人事業主など、現役でビジネスを営む人々が中心となる。この層では合理性を求める一方で、経営者同士の懇親会でワインや美術、芸術に触れる機会も多く、知恵の探求や芸術への関心も高い。単なる高還元だけでなく体験価値も重視される理由がここにある。
三井住友カードは、こうした新しい富裕層を「デジタル富裕層」と呼ぶ。共通するのは、デジタルに親和性があり、対面よりもデジタルでの取引を好む点だ。典型例は50代で現役として働き、一定の収入と資産を持ちながらも、忙しいためデジタルを好む層である。
審査基準も従来のステータスカードとは変わった。AIを活用した審査技術の発達により、社会的地位よりも実際の利用能力とリスクを重視する方向に変化し、「目に見える線引きのようなものが消えてきている」。つまり、Infiniteは従来の富裕層概念を超えた、新しい顧客層開拓を狙った戦略的なカードなのである。
そしてOlive Infiniteは具体的にどのような価値を提供するのか。年会費は公表されていないが、おそらく10万円前後になるだろうと筆者は想像する。
その対価として用意されるのが、「経済価値」と「体験価値」の組み合わせだ。経済価値の目玉は、最大11万円相当の継続特典である。さらにSBI証券でのカード積立では最大6%のポイント還元を実現する。この6%還元について伊藤氏は「単体では収益化できない」と認めつつ、「総合的なサービスとして提供するため、全体での採算を重視して設計している」と説明する。
体験価値では、メタルカードの追加発行に加え、Visaが提供する世界的なスポーツイベントへの招待が用意される。Visaとしても日本でのInfinite普及を狙っており、海外の特別なイベントへのアクセスも提供される。
新たに導入されるフレキシブルコンサルティングでは、相談チャネルやコンサルタント自体を顧客が選べる仕組みを導入し、従来の金融機関のコンサルティングとは一線を画す設計としている。
年会費を大きく上回る継続特典、破格のポイント還元、そして特別な体験価値を組み合わせたこの価値提案。果たしてデジタル富裕層に受け入れられるのか。2026年春のサービス開始後、市場での評価が注目される。
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