JR東日本をはじめ、地下鉄・私鉄が行き交う新宿駅は、世界で最も利用者数が多い駅としてギネス世界記録に認定されている。複数の路線が乗り入れ、駅の構造が極めて複雑であることから、「迷宮」とも呼ばれてきた。
こうした不便さを解消するために、新宿駅では数十年にもわたり工事が続けられ、姿を変え続けてきた。
少し前には、JRの東口と西口を結ぶ工事が進められ、改札内外の構造が大きく刷新されたばかりだ。さらに最近では、新宿西口エリアでの再開発も始まり、小田急百貨店の建物が姿を消す一方で、その地下では通路の動線が頻繁に切り替えられている。
新宿駅は、一体どのように生まれ変わるのか。本稿では、その再開発後の姿を考察していきたい。
不便さを解消するための対応として、新宿駅では長年にわたって大規模な再整備が進められてきた。
まず、2012年1月には駅周辺地域が「特定都市再生緊急整備地域」に指定され、その後の2018年3月には、東京都と新宿区によって「新宿グランドターミナル」を柱とする再整備の方針が発表された。この方針では、老朽化した駅ビルの建て替えを機に、駅本体や駅前広場、駅ビルを整備し、誰もが利用しやすいターミナルを目指している。
現在の新宿駅は、駅ビルの老朽化だけでなく、駅そのものの構造が分かりにくいという課題を抱えている。乗り換え経路が複雑で、歩行者が一部の場所に集中し、人の流れが交錯して移動がスムーズにいかない。駅の入口も見つけづらく、分かりにくさが常に付きまとう。
さらに、鉄道や幹線道路、駅前広場を横断できる場所が限られており、駅と街、あるいは街と街の間の移動が難しい。加えて、駅前広場は車中心の空間となっており、歩行者のためのスペースが不足している。
こうした数々の課題を解決するために打ち出されたのが、「新宿グランドターミナル」計画なのである。
なぜ日暮里駅は“通過点”の印象が強いのか 1日25万人が利用する駅の静かな現実
混雑率199%の衝撃 東京メトロ東西線はなぜ「すいている時間がない」のか
駅ナンバリングはなぜバラバラなのか 鉄道会社の“独自ルール”が招く誤解
武蔵小杉の横須賀線ホームは、なぜ離れた場所にあるのかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング