中小の中古車販売店の不振の背景には、旧ビッグモーター(BM)による保険の不正な水増し請求を機に、業界全体で同じことが行われているのではという不信感が広がったことがあるとの指摘もある。とくに大手に比べ信頼度の低い中小への逆風は強いとみられる。
旧BMが設置した特別調査委員会の報告書では、車体になかった傷を故意につけ、損害保険会社に修理費を過大に請求するといった行為が明らかになった。具体的には「ヘッドライトのカバーを割る」「ゴルフボールを靴下に入れて振り回し車体をたたく」などだ。
こうした不正行為の背景には過剰なノルマがあったことも判明。一連の不祥事を受け、創業者の兼重宏行社長(当時)は2023年7月に引責辞任し、24年5月、伊藤忠商事が事業を承継して新会社「WECARS(ウィーカーズ)」を設立した。
前後して同業大手で不正請求の事案が指摘されるなどのケースも相次ぎ、業界全体の信頼も落ち込んだ。
専門家からは、中古車の修理や点検などのプロセスは“ブラックボックス”で外から見えず、不正があるのではとの疑いがもともと消費者にあったとの指摘が上がる。今後も業界への疑念を完全に払拭するのは難しく、大手に比べて従業員教育などの態勢が整わない中小ほど消費者から選別を受けることになりそうだ。
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なぜ人は「激安タイヤ」を買うのか アジアンタイヤの存在感が高まるリスクcopyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
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