このほか、物価高で消費者はお金の使い方に厳しくなり、日本銀行の利上げでカーローンの金利も上昇。さらに、旧BM問題の影響もあるとみられる。新田氏は「消費者は販売店を信頼できるか厳しくみて選ぶようになり、(ローンなどを手掛ける)金融機関やクレジット会社も(不正な販売がないか)審査を厳格化している」とし、中小販売店の逆風になっている可能性があるとみる。
近畿大学の芳澤輝泰准教授(経営学)は、旧BM問題について「まだ(業界の)信頼の本質的な回復にはつながっていない」とした上で、「従業員を教育するにしても中小は充てる人員もお金もない。社長自身がきわめて強い倫理観を持つことが不可欠だ」と話す。
一方、少子化や若者の車離れが進む状況では、多くの在庫を抱える従来のビジネスモデルを続ける中小の販売店は、遅かれ早かれ倒産する可能性が高いとする。
芳澤氏が必要と考えるのは「在庫を持たない経営」への転換。車種、予算などの顧客の希望を聞き、それに合った車をオークションで仕入れることで資金的なリスクを減らすことが内容となる。
また、特定の車に特化する「集中戦略」も提案する。ニッチな市場で専門性を高め競争優位を築くことが重要だとする。さらに、「販売ではなく地域密着型での修理やアフターサービスに特化する」ことで顧客と長期的な関係を築き、安定した収益源を確保することも求められるとする。
生き残るためには変化を恐れず、新たな価値提供を模索する思い切った転換が求められそうだ。(山口暢彦)
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