今回統合が進められている首都圏や京阪神の状況について、2024年度のデータを見ると、首都圏ではすでにイオンがトップシェアを確立しているといえる。
USMH(マルエツ、カスミ、マックスバリュ関東)には、いなげやが加わっており、この時点で売上高は1兆円弱の規模となっている。そこにダイエーとイオンマーケットを合わせると売上高1.1兆円を超え、ここにまいばすけっとの売上高2900億円を加えると、総額で1.4兆円規模に達する。
かつて首都圏のトップはイトーヨーカ堂だった。しかし、すでに大規模な店舗閉鎖が進められており、前期1.1兆円からさらに減収となることは確実だ。
首都圏でも、イオンのトップシェアは揺るがない状況にある。ただし、USMHについては、統合によって形成されたシェアであり、必ずしも圧倒的な競争力を備えているわけではない。
個店ベースの集客力では、オーケー、ロピア、ヤオコー、ライフ、ベルク、サミットなどが非常に高く、売上も伸ばしている。そのため、イオン系チェーンが圧倒的優位に立っているわけではない。だからこそ、規模で最大となったこの好機を生かし、インフラ統合による生産性向上を実現し、名実ともにトップシェアを確立しようとしているのだろう。
京阪神に関しては、H2Oリテイリング(食品事業)、万代、ライフコーポレーションの3強がそれぞれ売り上げ4000億円規模で並び、都市部のシェアを押さえている。イオンは統合後、売上3000億円規模になる見込みで、上位勢とは一定の差がある位置付けといえる。また、ロピアやオーケーといった関東のディスカウントスーパーが出店を加速しており、その存在感が急速に拡大している。
しかし、京阪神にはM&Aによって逆転を狙える規模の中堅スーパーが少なく、イオンが得意としてきたM&Aで一気に逆転するための有力な候補が見当たらない。こうした事情もあり、イオンが京阪神でトップシェアを達成するハードルは高いだろう。今後のシェア拡大に向け、まずはダイエーと光洋の統合によって競争力を高める段階にあるのかもしれない。
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