この記事は『2040年の人材ビジネス大予測』(黒田真行、神宅謙一郎/クロスメディア・パブリッシング)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。
雇用や働き方の観点で過去から未来を考えてみます。
第二次世界大戦後の日本経済を支えた大きな柱は終身雇用制度でした。特に高度経済成長期からバブル期くらいまでは、日本の労働市場の特徴として世界からも注目されてきました。しかしすでにこのシステムは大きく転換しています。
終身雇用の仕組みが一般化していったのは、戦後の混乱期から高度経済成長期にかけての時期です。特に1950年代から1970年代にかけて、製造業や大手企業を中心に終身雇用制度が確立されていきました。企業は新卒者を一括採用し、長期的な視点で人材を育成。従業員は会社への忠誠心を持ち、生産性向上に貢献する。この相互信頼関係が、日本型経営の根幹を形作ったのです。
また、この時期、終身雇用制度を強く後押しした背景に、労働組合の存在がありました。
戦後、労働組合は急速に力をつけ、1960年代には組織率が50%を超えるまでに成長。全国労働組合総連合(全労連)や日本労働組合総連合会(連合)といった組織が、労働者の権利保護に大きな役割を果たしました。
一方、日本経済団体連合会(経団連)をはじめとする経済団体も、労働組合との協調路線を選択。適切な賃金上昇や労働条件の整備を進めることで、安定した労働力を確保しました。この労使協調の姿勢が、終身雇用制度の基盤となっていきます。
さらに、年功序列賃金制度との組み合わせが、終身雇用制度を盤石なものにしていました。勤続年数に応じて給与が上昇し、役職が上がっていく仕組みは、従業員の長期勤続への強い動機付けとなりました。1980年代には、正社員の約85%が終身雇用を前提とした雇用形態で働いていたというデータもあります。特に製造業や大手商社では、新卒一括採用が当たり前の光景となっていました。
しかし、1990年代初頭のバブル経済崩壊は、終身雇用制度に大きな打撃を与えました。多くの企業が業績悪化に直面し、人件費削減を迫られます。それまで「聖域」とされていたホワイトカラー層にも、リストラの波が押し寄せました。
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