――最高のチームを作るために、リーダーが意識すべきことは?
最も大切なのは「ビジョンを語ること」、つまり“未来を見せる”ことです。現場の社員ほど、どうしても目の前の業務の大変さや辛さに意識が向きがちになります。そんな時に「なんのためにこの仕事をしているのか」「この努力の先に何があるのか」が見えていれば、人は粘り強く頑張れる。でもそれが見えないと、やる気を失って辞めてしまう、なんてことにもなりかねません。
だからこそ、リーダーは「今やっていることがどんな未来につながるのか」を、繰り返し語り続ける必要があると思います。
――会社全体のビジョンが現場に伝わりづらいこともありますよね?
おっしゃる通りです。会社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は抽象度が高く、現場のメンバーには響きにくいことがあります。だから私は、自分がチームを持ったときは、そのビジョンを“自分たちの言葉”に変換して伝えていました。
例えば、私が初めて部下を持ったときに掲げたビジョンは「全員ワンランクアップ」でした。役職でも、スキルでも、給料でも、何か1つ、1年でランクを上げようと。それをもとに、メンバーの一人ひとりに「何を、どれくらい上げるのか?」を設計してもらいました。これがあることで、日々の業務に意味が生まれたんですよね。
――自身のマネジメント経験の中で、転機になった出来事はありますか?
たくさんありますが、印象的だったのは20代半ばで50人近い部下を持たされた時期ですね。当時は営業の実績に自信があったので「俺の言う通りやれば結果は出る」という思い込みが強くて、強引な指導もしていました。いま思えばパワーマネジメントに近いですね。
ある時、会社の専務に言われたんです。「嶋津くんの“普通”と部下の“普通”は違うんだよ」と。その言葉でハッとしました。自分のやり方を押しつけていたんだと。結果的には数字も出ていましたが、部下の“やらされ感”は強かったと思います。
そこからは“縦”のマネジメントから“横”のマネジメントへ、つまり「一緒に考える」「個別最適に合わせる」指導へと変えていきました。結果は変わらず出ていましたが、部下の表情や主体性が明らかに変わった。それは大きな転換点でしたね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング