ITmedia ビジネスオンライン編集部のメンバーが、「いま気になるもの・人・現象」をきっかけに、社会や経済の変化を掘り下げる企画である。個人の“偏愛”を軸にすることで、記事には書き手の視点や関心が自然ににじむ。日常の小さな関心が、経済の動きや兆しとどうつながるのかを、取材を通して丁寧に伝えていく。
今年23歳になる記者は、YouTubeでK-POPのミュージックビデオ(MV)を見るのが好きだ。家でBGM代わりに流すこともあれば、映像に見入って気付けば1時間がたっていることもある。特定のアイドルのファンというわけではないが、MVを繰り返し見ても飽きないのだ。
K-POPにおけるMVの人気は、再生数にも表れている。韓国のグローバルスターBTSの「Dynamite」は2020年の公開以来、再生回数が20億回を突破(9月19日時点)。単純に比較できるわけではないが、日本人アーティストのMVにおいて、史上最高の再生回数を記録した米津玄師氏の「Lemon」(2018年公開)は約9億回再生であり、その差は大きいことが分かる。
なぜ、K-POPのMVはこれほどまでに視聴されるのだろうか。大阪公立大学、国際基幹教育機構の非常勤講師として韓国文化コンテンツや観光について研究する林玲穂氏に話を聞いた。
MVと言えば「音楽に映像が付いたもの」をイメージする人もいるかもしれない。一方、K-POPにおいては音楽を映像で見せる「プロモーション」の側面が特に強いという。言語の壁を越え、映像美とパフォーマンスを通じて魅力を伝えられるからだ。
こうした流れを後押ししたのが、K-POPの流行と同時期に、YouTubeをスマートフォンなど身近なデバイスで見られる環境が整ったことも大きいようだ。日本のアイドルグループの多くが、長らくYouTube配信に消極的だったのに対し、韓国は早い段階から注力した。その背景の一つに、国内市場の小ささがある。グローバル展開を前提とするK-POPにとって、テレビのように高額な広告枠を必要とせず、また、政治的な影響も受けにくいYouTubeは最適な選択肢だったようだ。
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ビルボードジャパンが描く「音楽×データ×ライブ」の未来図 “日本発のコンテンツ”を世界へCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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