林氏は現在のK-POP市場について「過渡期にある」と話す。これまでは、制作側にとっても「これをすればK-POPらしく見える」というある種のパターンが存在していた。しかし、毎年数多くのグループがデビューする中で、同じパターンのままでは差別化できない。
各事務所は新しい取り組みを模索中だ。女性アイドルグループARTMSの「Icarus」では、約15分に及ぶシネマティックバージョンのMVを公開した。歌が始まるのは後半の5分ほどで、それまでは映像作品として物語が描かれる構成だ。また、aespaの「Armageddon」では、これまで以上にCGを活用し、未来的な世界観を表現した。
単に耳で楽しむだけでなく、ビジュアルや世界観でファンを引き込むK-POP。林氏の話を聞き、日本と韓国は異なる市場背景を持ちながらも、それぞれの強みを生かせば、より豊かな音楽シーンを築いていけるのではないかと感じた。
記者自身も、普段からK-POPのMVを「見て」楽しんでいる。アイドルのメークや衣装、セットや小物に至るまで、徹底して作り込まれた世界観に引き込まれ、繰り返し見ても飽きず、見るたびに新しい発見がある――それこそが、K-POPのMVが世界中で愛される理由の一つなのだろう。今後どんな表現で世界を驚かせるのか、注目が集まる。
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